我慢ならない社長の一言
それはある日のことでした。
いつもの様に仕事に取り組んでいると、生産数量が急遽変更になったと納入先から連絡が来た様です。
連絡を受けた社長は、近くにいた私にいつもの様に早口で伝えようとします。
「おい!〇〇が追加になったからそう伝えて」
言っている事は聞き取れましたが、製品番号の2ケタだけをおっしゃっていたので、私にはまだそれが何の事か瞬時に判断出来ませんでした。
「え? それって何でしたか?」
理解出来なかってので聞き返しました。 すると社長は、「〇〇の事だ!!いい加減覚えろ!!!」と怒鳴りました。
また怒鳴られました。それもこんな些細な事で。もう我慢出来ません。
この時私の中でプチっと何かが切れました。
「すいません。私って記憶力が悪いんでなかなか覚えられなくて申し訳ないです」
そう言いながら頭の中ではこう考えてました。
「・・これからもずっとこんな事が続くんだろうな。この社長がいる限りは・・」
そう思うと、ここに居るのが嫌になって来ました。
長年勤めた会社を辞め、新天地を求めて辿り着いた先が、パワハラ社長の率いる会社なんて残念過ぎます。
「ここに居る必要は無い。」
そうなってしまうと行動が早いのが、私の長所でもあり短所でもあります。
その日、会社を辞めたいと伝えました。
幕切れはあっけなく
辞意を伝えると、特に驚いた様子もなくこう言われました。
「じゃあ日程を調整するから。また決まったら連絡します。」
ここもあっさりとした対応です。
何で辞めたいかとか、もう少し頑張ってみないかとか聞かれないもんなんですね~。
私ってその程度の人なんだ。ちょっと自分を過大評価してたみたいです。
発つ時は跡を濁さず行きたいものですが、会社の塩対応に反抗すべく、すぐ辞めたいと申し出ました。
最初は月末までは来て欲しいと言われてましたが、結局私の言う通りにしてくれました。
いい会社です。辞めるには勿体無いくらいです。
最後に保険証の切り替えで揉める
給料とか必要書類を月末に取りに来て欲しいというので、その時に貸与されていた作業服や保険証も返すという事で話がまとまり、また家で過ごす日々が始まりました。
そういえば保険証の切り替えって、前の会社では辞める前に出来たなと思い、ろくに調べもせず市役所の窓口へ行きました。
窓口で言われた事が、
「離職証明書は有りませんか?」との事。
前の時ってそんなの有ったかな? 有ったかも知れないけど忘れてるかも。
まあいいでしょう。必要書類に入っているでしょうから、その時やればいいさ。
月末になり会社へ給料と書類を取りに行きました。作業服も保険証も返します。
社長に挨拶を済ませ、会社を後にします。
市役所へ向かう途中で書類を確認しますが、離職証明書なるものは入っていません。
離職票が入っていたので、恐らくこれが離職証明書になるんだろうと思いながらまた市役所の窓口へ。
「これでいいですよね?」と離職票を出すと、ダメだと言うではありませんか。
「離職証明書ですよ。会社が書いてくれませんでしたか? この用紙ですよ。」
といって離職証明書の用紙を出してくれました。
離職証明書は用紙を備えている会社も多く、保険証が途切れない様に前もって発行するのが普通なんだそうです。
これに記入して社印を押してもらえれば今日手続き出来ますよと言われ、それならばと社長に電話して離職証明書の帰入をお願いしました。すると、こんな回答が来ました。
「あなたが保険証を早く返さないからそうなるんでしょ! これから手続きするから4~5日経ったら自分で手続きに行きなさい。」
一体何を言ってるのかサッパリ分かりません。 これから用紙を持って行きますから書いて頂ければすぐ出来ますのでお願いしますと言うと、
「こっちは忙しいんだ!!今書いてる暇なんてない!!」
とまた怒鳴られてしまいました。
取り敢えず会社に持って行き、書けたら連絡をもらうと言う事になりました。
結局保険証の手続きが出来たのは3日後でした。
辞めたのは正解の様です。
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